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2025年の新年を迎え、伊藤忠グループの全社員に向けた石井敬太社長COOの年頭挨拶が行われた。挨拶の中では、日本の国際的な競争力低下への危機感、世界情勢の変化、AIなどデジタル技術の進化とその活用の重要性が強調された。
1. 日本の国際競争力低下への危機感
石井社長は、2024年に日本商工会議所の経済ミッションとしてタイ・バンコクを訪れた際の経験を振り返った。円安の進行と日本企業の存在感の低下に直面し、10年前と比較して円の価値が下がったことに強い危機感を抱いたという。
例えば、10年前に2.8円だった1バーツが現在は4.5円となり、フカヒレスープの価格も円換算で約3,000円から約5,000円へと上昇。さらに、日系企業が多く進出していたアマタ工業団地では、中国企業の進出が優勢となり、日本企業のシェアが縮小している状況が確認された。
日本はこれまで製造業を中心にアセアン地域でのプレゼンスを高めてきたが、従来のプロダクトアウト型の戦略では限界が見えてきている。円安は単なる金利差の影響だけではなく、日本の国力低下の表れであり、日本復活のために商社としても尽力しなければならないと強調した。
2. 世界情勢の変化とトランプ政権の影響
2024年は「選挙イヤー」となり、日本では石破政権が誕生し、アメリカではトランプ氏が大統領選に勝利した。2025年からの「トランプ2.0」政権では、貿易関税の引き上げ、対中規制の強化、移民政策の見直しなどが実施される可能性が高く、保護主義的な政策が進むと予想される。
また、中国、ロシア、トルコといった強力なリーダーを擁する国々に加え、フランスやドイツでは右翼政党の台頭が見られ、世界全体が協調型から保守・保護主義的な志向へと変わりつつある。
トランプ新政権は多国間での協調よりも二国間交渉を重視する「ディール型」の交渉を展開するとみられ、日本を含む各国のサプライチェーンに影響を与える可能性がある。そのため、現状を冷静に注視しつつも、中長期的な視点を持ち、過剰反応せず本質を見極めることが重要だと述べた。
3. AI・デジタル技術の進化と日本の遅れ
デジタル技術、とりわけ生成AIの進化が加速しており、実ビジネスへの導入が急速に進んでいる。しかし、日本のAI活用は遅れており、個人の生成AI利用率は中国56%、アメリカ46%に対し、日本は9%と低迷。ビジネス利用率も世界平均43%に対し、日本は16%にとどまっている。
世界ではAIが新たなビジネスを生み出す基盤となっており、AIを活用しない企業は世界市場から取り残される可能性が高い。最近では「AIは2、3年以内に人間と同等の知能を持ち、10年以内に1万倍の超知性へ進化する」とも言われており、その変化に対応しなければ競争力を維持できないと警鐘を鳴らした。
伊藤忠商事では、昨年11月に全社員・役員向けの生成AI研修を実施し、12月にはマイクロソフトのCopilotを正式導入。さらに、社内向け生成AIサービス「I-Colleague」の利用者が約1,000人まで拡大した。「AIを使わなくても仕事はできる」「AI活用は若手の仕事」と考えるのではなく、全社員が積極的に新技術を活用し、効率化と生産性向上を図るべきだと述べた。
「AIに仕事を奪われるのではなく、AIを活用する人に仕事を奪われる」と言われる時代に、商社マンとしての本質を見極め、新しい技術を積極的に吸収する姿勢が求められる。
4. 2025年の目標と社員へのメッセージ
2025年の最重要課題として、2024年度の連結純利益計画8,800億円の必達を掲げた。
最後に、伊藤忠グループ全体のさらなる発展と商売繁盛を願うとともに、社員とその家族の健康と幸福を祈念し、新年の挨拶を締めくくった。
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